『狂熱の果て』(佐川プロ製作 監督 山際永三 1961年11月1日公開) 『黒い傷あとのブルース』(佐川プロ製作 監督 小野田嘉幹 1961年11月22日公開) 『飼育』(パレスフィルムプロ製作 監督 大島渚 1961年11月22日公開) 『大吉ぼんのう鏡』(シナリオ文芸協会製作 監督 猪俣勝人 1962年1月3日公開) 『波止場で悪魔が笑うとき』(第一プロ製作 監督 中川順夫 1962年1月3日公開) 『黒と赤の花びら』(佐川プロ製作 監督 柴田吉太郎 1962年1月14日公開)
この内、大島渚の『飼育』こそフィルムの現存がはっきりしており、DVD化もされているが、あとの5本については現在新東宝作品の管理をしている国際放映にもプリントはなく、また、5本の内3本を製作された故佐川滉プロデューサーも生前フィルムの所在を探しておられたが結局見つからなかったそうである。故にこれらの大宝配給作品は既に現存しない作品と永らく思われて来たのである。 ※『波止場で悪魔が笑うとき』の公開日について 一昨年の上映会の際に『波止場で悪魔が笑うとき』について「経緯は判らないが大宝の業務停止後に公開されたらしい」としておりましたが、その後の調査により『大吉ぼんのう鏡』と二本立てで公開されていた事が判明いたしました。
シネマ△トライアングルでは一昨年、上記の如く既に失われたと思われていた大宝配給の5作品の内『黒い傷あとのブルース』『黒と赤の花びら』『波止場で悪魔が笑うとき』の3作品の16mmプリントの所在を突き止め、これら幻の作品たちをスクリーンに蘇らせる為、「発掘!幻の大宝映画」と銘打って新橋TCC試写室でのシリーズ上映を行いました。 この上映会はお陰様で日本映画マニアの方々から大変な好評を得、また、上映を見逃した方からも再上映を望む声を多数頂いておりました。 そこで今回、発掘した3本の内プリントの劣化が著しい『波止場で悪魔が笑うとき』を除いた『黒い傷あとのブルース』『黒と赤の花びら』の2本をアンコール上映いたします。
シネマ△トライアングルでは一昨年の上映以降も大宝配給作品の探求を続けておりますが、現時点ではこの3本以外のプリント存在は確認できておりません。 また、依然権利関係ははっきりせず、プリントの状態から見ても一般劇場での上映は難しい作品です、是非この機会をお見逃しなく。
※今回の上映プリントは経年のため退色が進んでおります。またフィルムの劣化に起因する映写トラブルによる上映の中断等がある可能性があります。かろうじて現存する貴重なプリントでありますことをご考慮頂いた上、予めご了承頂きたくお願いいたします。
1961年 佐川プロ製作 大宝配給作品 16mm シネスコ (16mm上映) 製作:佐川滉 企画:辻豊 監督:小野田嘉幹 原作:猪俣勝人 脚本:味楽京香 音楽:赤星建彦 美術:岩武仙史 撮影:岡田公直 照明:岡庭正隆 録音:沢田一郎 助監督:武部弘道 出演:牧真史/島崎雪子/月田昌也/殿山泰司/竜崎一郎/水上恵子/近衛敏明/大友純/植村謙二郎/南道郎/小野満とスイングビーバーズ 他
【解説】(当時のプレスシートより) この映画は、麻薬密売に生きる不敵な男を主人公に、その彼が泥沼のような悪の世界でふと知った真実の愛テーマにしたものである。暗黒街に炸裂する強烈なアクション、その中で生きることしか出来ない宿命的な男女の愛情を描き、そうした愛情がどんな報酬を得たか ― 視野の広い社会派・小野田嘉幹監督の厳しい眼を感ずることが出来る一篇である。 猪俣勝人の原作と味楽京香脚本の歯切れのよさも、こうしたドラマに必要なドライなムードを作り、特に、後半、ラストにかけての追い上げるような急迫した快テンポを生んでいる。
1962年 佐川プロ製作 大宝配給作品 16mm シネスコ (16mm上映) 製作:佐川滉 監督:柴田吉太郎 原案:牧源太郎 脚本:宮川一郎/柴田吉太郎 音楽:菊村紀彦 美術:宮沢計次 撮影:須藤登 助監督:山際永三 出演:天知茂/上月左知子/丹波哲郎/三原葉子/安井昌二/松尾和子/細川俊夫/大友純/沖竜次/扇町京子/松浦浪路 他
【解説】 テレビのケンちゃんシリーズで知られる柴田吉太郎監督のデビュー作にして唯一の劇場作品。脚本の宮川一郎をはじめスタッフ、キャスト共に殆どが新東宝のメンバーによって固められている。なお、同じく佐川プロ製作・大宝配給の『狂熱の果て』で一足先に監督デビューを果たしていた山際永三監督が「世話になった先輩の応援のために」と、チーフ助監督として参加している。
【あらすじ】 激流の洋上で起きた船舶遭難事故。遭難による保険金の詐欺の疑いを持った海上保険の調査官田代は調査を進めていく内に、その背後にある別の事件の存在に気がつく。 事件の真相を突き止めようと更に調査を進めていく田代であったが....。